what's up? 今日のニューヨークに吹く風は何色?


by マグノリア
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カテゴリ:短編部( 8 )

A name of Love

久しぶりに夢を見た。そしてちょっとうなされた。

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 明るい日射しのある朝だった。
私は大きな窓を開け庭を眺めていた。庭は何故か一面の池になっていた。池の真ん中くらいには小さな島があり、ソコはモミジが真っ赤に紅葉している。

 私は池の水を眺めて、何故か『ここから飛び込んでだいじょうぶだろうか』と悩む。
それがもし海だったら私は悩む事無く飛び込んでいただろうけど、池というだけで色んな事が頭の中を駆け巡った。

 まず、底は浅いのか深いのか? 魚は居るのか? 何か体に引っ付く様な恐い生き物は居ないか。例えばヒルとか噛みつき亀とか。池の水は緑色に濁っていて底も魚も見えない。本当に飛び込んでもだいじょうぶなのかとても不安だったので、用心深く更に注意深く水面を眺めていた。

 気が付くと、90度向こう側の窓辺に友人が居る。友人は窓辺で長い髪の毛をとかしていたので、私はその友人に訪ねた。

「こっから飛び込んでもエエやろか?」

 友人は起きたての白い顔で

「ええんとちゃう」

 と、髪をとかしながら、どうでもええやんかとばかりに言ってくれたので私は思い切って、清水の舞台から飛び降りる勢いで窓枠をキックした。

 私は泥の匂いの混じった緑色の水のなかに一旦沈む事を覚悟していたのだが。

____


 どう言う訳か私は水には落下せずに空へ舞い上がってしまった。それも、一気に高度が上がったため急に恐くなった。無我夢中であったが、気が付くと私は命綱を握っている。池も、そしてその池の真ん中に有る小さな島も見る見るうちに小さくなっていく。
もはや私は恐怖のあまり命綱から手を放してしまったので、そのまま勢いでドンドン高く上昇していく。とても安定が悪い。なかなかバランスが保てないのだけれど確実にもう空を飛んでいた。

 そして、一抹の不安が過る。私はこのまま一体どこまで飛んでいくんだろうかと。。。
まるで糸が切れたタコ状態だ。

 下界は遥か下。野も山もどんどん越えていく。しばらく飛ばされているうちに風はちょっと冷たい。と言う事ぐらいは気づく様になって来た。そしてまだまだ不安を拭う事も出来ないでいる。そして泣きたくて何かにすがりたい気分だった。勿論、涙も出てくるのだが風圧で飛ばされ直に乾いてしまう。そして、叫び声も声にならない。


 しばらく不安定な状態で無我夢中に空を舞うように飛んでいた。


 すると、どこからか音楽が聞こえて来た。音楽はオモチャのピアノ音色だ。飛ばされながら空の様子を探っていた。水色の空には白い雲がいくつも浮かんでいた。雲の間から小さな黒い点が見えて少しずつ近づいて来る。その黒い点はようやくカタチを表し、こうもり傘だと解る。その音は黒いこうもり傘が運んで来てくれていた。

 大きなこうもり傘は水色の空の中クルクル回りながら音楽を奏でている。
私は出来るだけその傘に近づこうとテを伸ばす。
音楽は、楽しそうに、そして優しい言葉で歌い始めている。


“哀しい訳でも無いのに君の笑顔を思い出す度に。。。♪


 風は相変わらず強いけど私は不安な気持ちをいつの間にか忘れてその歌を聴いている。
そして、やっと、私はこうもり傘に手が届いた。

 と、思ったらその傘はいつの間にかタキシードを着た天使みたいな顔をした男に変わっていた。

 タキシードの男は大きな口を開けて子供みたいに歌っている。私も目一杯口を開けて一緒に歌った。オモチャのピアノの伴奏でキモチのよいリズムだ。
空の中を風を切って、歌っていると喉がからからになって来た。でもどうしても嬉しくっておかしくって、歌は止まらない。そのリズムに合わせながらクルクル回りながらあまりにおかしいので私は目を閉じた。

 そして目を開けたとき私は地面に立っていた。そこは緑色の草原が広がっていて一本の舗装された道が続いていただけだ。

 私は実感した。地面に足がついている事の安定感を。

 しかし、音楽はいつの間にか消えていた。私は夢を見ていたのかと思った。
気分を変えて私は歩くしかなかった。頭の中に空白が出現したみたいだった。そしてモウ風も吹いていなかった。

 水色の空を仰いでも、こうもり傘もタキシードの男も何所にも見当たらないし、少し哀しい気分になった。タキシードの男の顔は見覚えが有る棟な、無い様な。その肩のシルエット、顎の感じ、薄くて大きな口。笑うとちょっとシワがよる。風に吹かれたやや長めの細い髪。

 しかし、明るい日射しの中、歩きながら考えてるうちにそんな事はモウどうでもよくなってしまった。

 私は歩くしか無いのだから。今ここに道は一本しかない。と言う事だけで、ソコを歩いていかない限りは何所へも行けないし、行き着く事も出来ないのだから。

 そう!歩くだけね。
 一体、何所へ?
 うーん。。。解らないが。。。

 多分、自分を待っている場所が有るはず。
きっと。

 だから、歩くしか無いのだ。が、万が一、また何かの拍子で体が舞い上がって、地上からはなれる様な事になったら、さっき聞いた不思議な歌をまた歌ってみようと思った。

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by magnolia0812 | 2012-11-20 12:00 | 短編部

エレノアとお財布

 
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 それは年期の入った良質のイタリアンレザーで、深みのある綺麗な色の赤い財布だった。エレノアの白い手のひらの中でちょうどいい大きさで、吸い付く様にピッタリ納まる。5年間のパーフェクトな付き合いだったという大のお気に入り。いとおしげに愛撫しながら私に紹介してくれる。


しかし、ついに買い替える時が来たと言う。



上質のグレーのスーツにべっ甲ぶちの眼鏡をかけたエレノアはいかにもキャリアウーマン。
ちょっと気難しそうな人だけど、話し始めると、飾り気も高慢さも無く、ションプルな感じ。
無駄な物は買わないし、見向きもしない。と、いう主義だそうで、


「要る物だけがいる。だからウインドウショッピングなんかしないのよ」


と、キッパリ言う。

私は思わず、


「ふーむ、あなたって、質実剛健? というか、まるで家の頑固オヤジと似てる!」


なんて言ってしまうと。カノジョは


「そうなのよ〜!わかる? 嬉しいわ〜」


と、大きな口を開けて笑った。私も一緒に笑った。



遠慮なく本音でジョークも言い合える素敵なニューヨーカーとの会話。

私はトある老舗ブランド店に勤務している。
ココはニューヨークのマンハッタン。本当に色んな人々に出会う。


英語が通じる人、通じない人。
ノープロブレム アト オール!
勿論筆談だってオーケーです。
あ、サインランゲージもね!


海外から、勿論ローカルの方達。みな、それぞれの事情で買い物に来られる。


まるでおとぎの国に訪れた様に目を輝かせている人達。
愛する人の為に一生懸命選んでおられる方。
頼まれて、仕方なく指定のモノを求められる方。
実用かつ、自己追求の為にパーフェクトなモノ求めに来られる方。
ただ何となくフラーっと、立ち寄って来られる方。


オジャベリ好きの楽しい人達、
接客嫌いのシンプルな人達、
ただ暇つぶしな人達、
もの凄くお洒落でカッコいい人達、
とっても、訳のわからない不思議な人達。


毎日まいにち、色んな人が色んな事情で、色んなところからやって来る。



 エレノアは、お会計を終えるとカウンターの上に赤い財布から次々とカノジョのカードを取り出して広げはじめた。
 色んなモノが赤いサイプのポケットを埋めていた。

空になった真っ赤な財布は、カウンターの上で、ちょっと


“ほっ”


と、したみたいな表情を見せていた。

私は少しだけ感傷的な気分で赤い財布を眺めていたが、

エレノアは、


「カノジョはモウリタイアーさせてあげる。ありがとう〜♡」


っと言って、キスをした。

それからちょっと大きめの新しいコニャック色の財布に、並べられたカードを注意深く入れていった。無事全部納まったアト、最期にカノジョの携帯も外側の大きなジップポケットにしまい込み。完了!


「パーフェクト!」


と、言ってエレノアは白い歯を見せ笑顔で去っていった。




素敵な会話、素敵なあなたの心意気をありがとう!

私の仕事場は都会の森のミラクルワールドかもしれない。


さあ、そんなミラクルな森のお店に今度はどんな人が来るのかな?






*写真はイメージです
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by magnolia0812 | 2012-10-07 05:52 | 短編部

畳と障子

あんなに暑かった日本の夏も今思うと愛おしい感じがします。


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今年は日本へ行ったり来たりの繰り返しでしたが、日本での生活もまた良いもんだと
つくづく感じ入りました。


幸運な事に、始めて読んだ小説の作家さんが同じ大阪出身の方で、地元で塾を開いておられ、その講座に2ヶ月通う事が出来ました。

始めて真剣に取り組む小説作りは私にとってはかなり高いハードルでしたが、ひっくり返りながらも色んな方の独創的な作品に触れる事も出来て、とても楽しく学べました。

自分を追いつめないとなかなか拍車がかからないので良い機会だったと思います。
三部作の短編がなんとか出来ましたが、まだまだ練り直しが必要です。
いつか発表出来たら良いなー、と思いつつ。。。


さてと、今日はキレイな秋晴れです。
夕べの満月は雲がかかってちょっとミステリアスでした。

今日は一つかけたお月さんどんなお顔してるかな?


美しい秋を満喫したいですね!
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by magnolia0812 | 2012-10-02 04:38 | 短編部

魔女の一撃

全く想像もつかなかったが。カノジョは突然やって来た。


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今日の仕事は早く終ったので、まだ日が高い。心地よい夏の夕風が開放感をあおる。そして、明日明後日は久々のに連休だ。

何となく鼻歌まじりに、普段の帰宅路とは違う方向に向かった。交差点を渡ってマディソン街を下る途中久々にウインドウショッピング。しかし、最近はトンと物質欲が無くなってしまい、ウインドウショッピングも面倒になり、とっとと駅へと向かう事にした。歩道は人で溢れている。道すがらNYへ来たての頃勤めていた番地の前を通りすぎると、随分様子が変わっている。見上げるとビルは近代化している。

街並もスッカリ変わっていて、随分無機質なビルや店が増えた。当然かー。。。と、確かに時代は流れている訳だし。

しかし、グランドセントラル駅ターミナルに入るドアは相変わらず木製で自分で引いて開ける。インフォメーションセンターのあるホールの高い天井には相変わらず描かれた星座が微かに瞬いている。教会の様に高い窓から夕方の光が差し込んでいる。メザーニには列車を待つ客達が飲み物や軽食を楽しみながら賑わっている。

大理石の階段を下りて地下鉄への通路を通り抜けて行く。この駅には沢山の思い出があり、そして今でも愛着がある。

今日は久しぶりに地下鉄とバスを乗り継いでの帰り道。ついでに近くのマーケットで食料品も少し買い、帰宅した時にはさすがに日は沈んでいた。

夕食はアボカドと超薄切りハニーハムに、ハーブのメチャメチャサラダ。絹ごしの冷や奴。それと、十穀米。何とも涼しげで超ヘルシーなメニューではないですか!

食後ソファーに座って、TVのスイッチを入れる。
デザートは冷たいブラックコーヒーとドライクランベリー。

一番組見終わった所で。読みかけのミステリーを開いて、熱いコーヒーを入れようと。。。その瞬間、突然一撃を受けた。

“ギクッ!”

私はあ思わず あ“! と、声にならない声。と、共に。

ひょっとしてコレが例の?。。。。!

と、言う思いで。ひたすら冷静を装いつつ、気を引き締めてゆっくりとソファーに座り直す。そして直ぐ手の届く所に有るクッションを引き寄せて、背中の空間をそーっと埋めた。

どうしよう。。。。もしもコレがあの例のカノジョの仕業なら。。。
もしコレが、、、世に言う◯。◯◯◯◯なのなら。。。


さらに。。。キモチが細くなって一抹の不安が押し寄せて来た。


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一体、世に言う”魔女の一撃”とはどれほどの破壊力なのか?!
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by magnolia0812 | 2012-06-01 03:11 | 短編部

蜻蛉の詩

その日私は大きなビルのロビーに居た。
大理石の床も、壁も、見上げるほど高い。


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天上もピカピカだった。

待っていたエレベーターが着くと、ドアが開きその中から無数のトンボが飛び出して来て、広いロビーはトンボの群れで一杯になる。

開いたままのエレベータの中にはまだまだトンボがビッシリ入っている。
それでもまだまだエレベーターからトンボは勢いよく飛び出して来る。
ロビーには無数のトンボが透明の羽をキラキラさせて飛び交い、あっけにとられた私はエレベーターに乗れないでいる。

毛布をかぶってエレベーターに乗って上へ上がって行く人も居たが、私は透明の羽をビビらせて飛び交うトンボの大群に恐れて、足が動かなくなっていた。

その内、モウ一機のエレエベーターが着く。と、幸いその中にトンボの群れは居なかった。
ここゾとバカリ、私はそのエレベーターに飛び乗る。私以外にも少し太った女の人が一緒に乗り込んだ。
そしてお互い、ホッとした。

急いでドアを閉めるボタンを押すと、ドアは素早くスルスルと閉まってくれた。
しかも、ぴっちりと。ピッチリ!ピッタリ! 
いや、それどころか閉まったドアの継ぎ目もみるみる内に無くなり、気が付くとそのエレベーターの壁は何と、バブルガムで出来ていた。

ピンク色のバブルガムで出来ている。粘っこく甘い香りもする。
階を示すボタンはM&Mが埋め込まれていて色とりどりだ。太った女は金髪の髪を振り乱し、慌てて、ボタンを押す。
でも、全く何階のボタンを押したかは解らない。

私も、太った女も焦った。エレベーターは上昇するとともにだんだん狭くなって行く。
暑い!私達は冷や汗と熱気でパニックになっていた。
壁はべたべたと迫ってくる。しかもバブルガムの匂いが充満していて、甘い香りで息が詰まりそうになる。
太った女と私は更に焦りに焦る。

気が付けば、エレベータには通気口もボタンも何もかも無くなっていて、全面ピンクのバブルガム。しかも機内は益々狭くなって来る。そして空気も段々少なくなって来る。みるみるバブルガムの壁が迫って来る。太った女も私も必死で壁を叩くがバブルガムはどんどん迫って来てモウ私達は窒息寸前のピンチ!

嗚呼あああああああア〜誰か助けて!


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けたたましく携帯のアラームが鳴って目が覚めた。

九月八日 曇り 今日は休みだった。
そう言えば、先日車のアンテナの先に赤とんぼが停まっていたのを思い出した。
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by magnolia0812 | 2011-09-09 18:11 | 短編部

泣きべそぽっくり

それは、ある夏の雨の日。
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とある神社にお参りに行きました。そこには、ちゃんとした大人でもちょっと、恐いなー。。。
と、思うくらいの急な登りの橋があります。
しかも、雨に濡れた足下は滑りやすい。

しばし、傘をさすのを止めて、雨に打たれながら塗り立ての朱色の橋の手すりにつかまって一歩づつゆっくりと昇った。
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???橋を登る?
あれ?橋は、渡る。モノでしょうがーーー。


その訳は、泣きべそぽっくりのお話だからです。
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 ちょっと前の昔、まあるいほっぺで、まぶたが大きいおかっぱ頭の女の子がお母さんとお父さんの手に引かれて、大きな鳥居をくぐってやって来ました。
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女の子の名前は、モモちゃん。ほっぺが桃みたいだから皆がそう呼びます。

モモちゃんは七五三のお参りにやって来たのです。
長い振り袖に大きな飾り帯、白い足袋に背の高いぽっくりを履いています。
真っ黒でツヤツヤのおかっぱ頭のてっぺんには大きなボタンの花の様なリボンが乗っかっていて、よくもまあこんなに小さい子が、目一杯お粧ししてる!
と、その派手さに、ほほ笑ましくなるやら、呆れるやらでス。

モモちゃんはまあるいホッぺを更に大きく膨らませえて、一生懸命、歩いています。
そして、モモちゃんが履くぽっくりも一生懸命、ポックリ、ポックリと音を立てています。

さあ、この神社に入ったからには避けて通れない橋があります。お参りするにはこの橋を超えなければならないのです。
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しかし、ココのお宮さんの橋はちょっと、いや、かなりの急なカタチで、地元の人たちはこの橋を
”お太鼓さん”と、呼んでいました。そう、通称お太鼓橋。と、言います。まるで太鼓の様に丸いからです。
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橋が丸いって?
この橋はまるで階段を上る様に作られている、とても急な造りなのです。


この橋の前に立つと、向こう側は愚か、橋の中央だって、見えません。
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ポックリを履いたモモちゃんがこの橋にさしかかった時、モモちゃんは思いました。
一つトシをとる事はこの向こう側が見えると、いう事なのかな?と。
そして、長〜い袋に入った、長〜い長い千歳飴の事を考えていました。

モモちゃんは、ちょっと覚悟を決めました。お父さんもお母さんもモモちゃんの手をしっかり握ってくれています。

ポックリを一歩、も一つ一歩。ゆっくり登って行きます。
だんだん、しんどくなって来ます。橋はだんだん高くなって行きます。
でも、まだ橋の向こうは何も見えません。見えるのは延々と続く、階段の様な橋と、空だけです。

えっちらおっちら、着物もだんだん重くなって来ました。
えっちらおっちら、頭のてっぺんのリボンさえ、重く感じます。
えっちらおっちら、少し白粉を塗ってもらったモモちゃんのほっぺがだんだん赤くなって行きます。

そして、やーっと橋の真ん中まで来ました。真ん中、ということは、頂上です。
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とても高い!赤いお社が向こうに見ええています。
とても高い!池の水面から沢山のカメ達がクルクル回りながら泳いで、モモちゃんに目配せしています。

ちょっと、一息。と、思ったものの、さて、これから後半、下り坂です。
もの凄い高さです。

モモちゃんは、橋の終わりを見ると、その高さにすっかり恐くなって、べそをかき始めました。
お父さんはつないでいた手を離して、モモちゃんの前にしゃがみ訪ねました。
「おんぶして上げようか?」
モモちゃんは、涙をポロポロあふれさせながら、更に頬を膨らませえます。
その時、お母さんが、
「駄目よ!ちゃんと最後まで自分で渡らんと、ポックリさんが怒るよ!一旦,ポックリさんが怒ったら、もうモモは一人で歩けへん様になってしまうよ。そしたら千歳飴も持てへんよ!」と、叱りました。

モモちゃんは膨らませていたほっぺたを少し凹ませました。そして、お母さんに鼻をかんでもらって、もう一度お父さんと、お母さんの手をしっかり握り、橋を渡りだしました。本当に橋は高くて転げ落ちそうです。でも、ポックリ、ポックリと、一歩づつ、歩いて、やっと、橋を渡り切り、清々しい風がモモちゃんのおかっぱ頭を撫でてくれた様に感じました。
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橋の上から眺めていたお社を今度は下から眺めています。
赤い朱塗りのとんがった屋根に、金色の菊の御紋が光っています。青いそらもキラキラと光っています。

モモちゃんは思いました。これでちゃんと一つトシをとれて、もっと沢山歩ける様になると。
そして、まあるいほっぺを伝っていた涙も、すっかり乾いていました。

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どこからか、笑い声に混じって歌が聞こえて来ます。
 ♪今泣いたポックリさんが、モウ笑た〜、泣きべそポックリさんは何処行った〜♪
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by magnolia0812 | 2010-08-12 14:50 | 短編部

You'v got a Boyfriend

力強いピアノのイントロダクションで始まる、キャロルキングの You got a friend は、私の大好きな曲です。
何となくブルーな時に聴くと、心が温かくなってくる。
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とある、心も晴れて空も気持ちよく晴れたある日の出来事。

上司のキースは42歳独身でゲイ。仕事の合間に時々世間話をするんだけど、その日はなんだか、目がぱっちり、スッキリモード。そり上げた頭もピッカピカに光ってるし、糊の利いたYシャツも真っ白!

ヒロコ、僕は今のアパートに引っ越して来て2年経つんだけど、先日仕事の帰り道、携帯で喋りながら歩いてたら、僕を追い越して通り過ぎて行った奴が振り向いたんだ。
僕は電話に忙しかったんだけど、奴は、もう一度振り向いた。
で、ちょっとニコッ と、したから僕も話し中だったけど、ニコッとしたさ。

だからその時とっさに、電話口の友人に、又後でかけ直す!って、言ってスグに携帯を切ったさ。で、ものすごい早足で前を歩いてた奴を追い越しザマに、そいつの顔を覗いたさ。
したら、彼はニッコリしたので僕は思わずハーイ、と言ったさ。

フッフッフッ。。。そこから、始まったのさ!

前のパートナーと別れて以来俺は毎日筋トレで体を鍛えていた。
仕事のオフにはジムに通い、クルージングにも何回か行った。でも、誰にも出会わなかった。
引っ越した先でも、2年間誰とも出会わなかった。
その、振り向いた奴も、かれこれ1年半くらい同じ街に住んでるらしい。でも、一度も見かけた事無かった。

それが、先日ついに出会ったんだ!おれは、すぐピンと来たよ。彼もゲイだって分かったし。

ひゃー、おめでとう!それはとても劇的な出会いだね。

そうなんだ!

じゃ、今度デートでもすれば。

ハッハッハー、もう既に一緒に食事したさ。

え!?はや〜。。。

彼は28歳。ウオール街で働くファイナンシャリストなのさっ。ちなみに僕は42歳。

へー、随分年下だね。じゃ、一緒になったらキースが養ってあげなきゃね?

いいや、奴の方が収入多いから僕は奴に養ってもらうさ!

え!?そんなのずるく無い?

俺は、きっと奴の良い女房になれるさ。
俺って、こう見えても、結構女っぽいとこあるしさ。

うーん、そうだよね。几帳面で何時も美味しそうなランチ持参だしね。。。
まあ、幸運を祈るよ〜*

ありがと!ヒロコ。俺もやっと、暖かい家庭が持てるよ♡






More ⇨あはっ♡
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by magnolia0812 | 2009-12-26 00:49 | 短編部

アイスクリームの夢

先日、カレッジの夏休みが始まった息子の友人達がそれぞれの実家に帰って来た。

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彼らは、幼馴染み。皆近所で幼稚園の頃から同じ学校で一緒に育った。
高校からは、それぞれの進む道が違ってきて、それぞれの希望を持って、それぞれ違う土地や環境に旅立って行った。それから2年、19歳。
そして皆、それぞれの青春を元気に生きてくれている。

久々に会うと、もうぱっと見ただけでは分からない位、立派に成長している。
いや、まだ勿論成長過程だが、あんなに手がかかって、色々心配したりもしたけど、
ヒョロヒョロで病弱だったアンドリュー、ころころ太っていて走るのが大変だったエッリオット、
幼い頃から色男ぶりを発揮していたホセ、まあるい頬をプクプクさせていた息子。

幼かった頃の面影もあるが、今や彼らは、はるかに私よりも背が高く紳士的に爽やかな笑顔を見せてくれる。皆キラキラしていて、眩しい。なんだか心も一杯になる。
彼らは、久々に集まって、ニュージャージー州にある某遊園地に遊びに出かけて行った。

朝食の用意をする必要も無い私とノリスは息子達を見送った後。手入れの行き届いた彼女家の庭でプールサイドに腰をかけ、なんだか時の流れの早さをしみじみと感じていた。

静かな平日の朝。小鳥の声がひとしきり響く庭先。色とりどりの花が可憐に咲いている。
私達は長い間のご近所さんで、長い間の友達だ。子供達が大きくなってしまってから、お互い会う事も少なくなったが、たまーに、こうやって、一緒に居ると、とても落ち着く。
キラキラと、プールの水に反射する眩しい光を眺めながら、お互い笑った。






アミューズメントパークかー。。。


*新機能Moreをエンジョイ下さい。

More ココ☞ぎゃ〜!!!!っと、大きな声で思いっきり叫んで、何もかも吹っ飛ぶ感じがたまりません。
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by magnolia0812 | 2009-05-24 14:45 | 短編部