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by magnolia0812
| 2012-12-06 03:41
| 作陶部
久しぶりに夢を見た。そしてちょっとうなされた。
明るい日射しのある朝だった。
私は大きな窓を開け庭を眺めていた。庭は何故か一面の池になっていた。池の真ん中くらいには小さな島があり、ソコはモミジが真っ赤に紅葉している。
私は池の水を眺めて、何故か『ここから飛び込んでだいじょうぶだろうか』と悩む。
それがもし海だったら私は悩む事無く飛び込んでいただろうけど、池というだけで色んな事が頭の中を駆け巡った。
まず、底は浅いのか深いのか? 魚は居るのか? 何か体に引っ付く様な恐い生き物は居ないか。例えばヒルとか噛みつき亀とか。池の水は緑色に濁っていて底も魚も見えない。本当に飛び込んでもだいじょうぶなのかとても不安だったので、用心深く更に注意深く水面を眺めていた。
気が付くと、90度向こう側の窓辺に友人が居る。友人は窓辺で長い髪の毛をとかしていたので、私はその友人に訪ねた。
「こっから飛び込んでもエエやろか?」
友人は起きたての白い顔で
「ええんとちゃう」
と、髪をとかしながら、どうでもええやんかとばかりに言ってくれたので私は思い切って、清水の舞台から飛び降りる勢いで窓枠をキックした。
私は泥の匂いの混じった緑色の水のなかに一旦沈む事を覚悟していたのだが。
____
どう言う訳か私は水には落下せずに空へ舞い上がってしまった。それも、一気に高度が上がったため急に恐くなった。無我夢中であったが、気が付くと私は命綱を握っている。池も、そしてその池の真ん中に有る小さな島も見る見るうちに小さくなっていく。
もはや私は恐怖のあまり命綱から手を放してしまったので、そのまま勢いでドンドン高く上昇していく。とても安定が悪い。なかなかバランスが保てないのだけれど確実にもう空を飛んでいた。
そして、一抹の不安が過る。私はこのまま一体どこまで飛んでいくんだろうかと。。。
まるで糸が切れたタコ状態だ。
下界は遥か下。野も山もどんどん越えていく。しばらく飛ばされているうちに風はちょっと冷たい。と言う事ぐらいは気づく様になって来た。そしてまだまだ不安を拭う事も出来ないでいる。そして泣きたくて何かにすがりたい気分だった。勿論、涙も出てくるのだが風圧で飛ばされ直に乾いてしまう。そして、叫び声も声にならない。
しばらく不安定な状態で無我夢中に空を舞うように飛んでいた。
すると、どこからか音楽が聞こえて来た。音楽はオモチャのピアノ音色だ。飛ばされながら空の様子を探っていた。水色の空には白い雲がいくつも浮かんでいた。雲の間から小さな黒い点が見えて少しずつ近づいて来る。その黒い点はようやくカタチを表し、こうもり傘だと解る。その音は黒いこうもり傘が運んで来てくれていた。
大きなこうもり傘は水色の空の中クルクル回りながら音楽を奏でている。
私は出来るだけその傘に近づこうとテを伸ばす。
音楽は、楽しそうに、そして優しい言葉で歌い始めている。
“哀しい訳でも無いのに君の笑顔を思い出す度に。。。♪
風は相変わらず強いけど私は不安な気持ちをいつの間にか忘れてその歌を聴いている。
そして、やっと、私はこうもり傘に手が届いた。
と、思ったらその傘はいつの間にかタキシードを着た天使みたいな顔をした男に変わっていた。
タキシードの男は大きな口を開けて子供みたいに歌っている。私も目一杯口を開けて一緒に歌った。オモチャのピアノの伴奏でキモチのよいリズムだ。
空の中を風を切って、歌っていると喉がからからになって来た。でもどうしても嬉しくっておかしくって、歌は止まらない。そのリズムに合わせながらクルクル回りながらあまりにおかしいので私は目を閉じた。
そして目を開けたとき私は地面に立っていた。そこは緑色の草原が広がっていて一本の舗装された道が続いていただけだ。
私は実感した。地面に足がついている事の安定感を。
しかし、音楽はいつの間にか消えていた。私は夢を見ていたのかと思った。
気分を変えて私は歩くしかなかった。頭の中に空白が出現したみたいだった。そしてモウ風も吹いていなかった。
水色の空を仰いでも、こうもり傘もタキシードの男も何所にも見当たらないし、少し哀しい気分になった。タキシードの男の顔は見覚えが有る棟な、無い様な。その肩のシルエット、顎の感じ、薄くて大きな口。笑うとちょっとシワがよる。風に吹かれたやや長めの細い髪。
しかし、明るい日射しの中、歩きながら考えてるうちにそんな事はモウどうでもよくなってしまった。
私は歩くしか無いのだから。今ここに道は一本しかない。と言う事だけで、ソコを歩いていかない限りは何所へも行けないし、行き着く事も出来ないのだから。
そう!歩くだけね。
一体、何所へ?
うーん。。。解らないが。。。
多分、自分を待っている場所が有るはず。
きっと。
だから、歩くしか無いのだ。が、万が一、また何かの拍子で体が舞い上がって、地上からはなれる様な事になったら、さっき聞いた不思議な歌をまた歌ってみようと思った。
明るい日射しのある朝だった。
私は大きな窓を開け庭を眺めていた。庭は何故か一面の池になっていた。池の真ん中くらいには小さな島があり、ソコはモミジが真っ赤に紅葉している。
私は池の水を眺めて、何故か『ここから飛び込んでだいじょうぶだろうか』と悩む。
それがもし海だったら私は悩む事無く飛び込んでいただろうけど、池というだけで色んな事が頭の中を駆け巡った。
まず、底は浅いのか深いのか? 魚は居るのか? 何か体に引っ付く様な恐い生き物は居ないか。例えばヒルとか噛みつき亀とか。池の水は緑色に濁っていて底も魚も見えない。本当に飛び込んでもだいじょうぶなのかとても不安だったので、用心深く更に注意深く水面を眺めていた。
気が付くと、90度向こう側の窓辺に友人が居る。友人は窓辺で長い髪の毛をとかしていたので、私はその友人に訪ねた。
「こっから飛び込んでもエエやろか?」
友人は起きたての白い顔で
「ええんとちゃう」
と、髪をとかしながら、どうでもええやんかとばかりに言ってくれたので私は思い切って、清水の舞台から飛び降りる勢いで窓枠をキックした。
私は泥の匂いの混じった緑色の水のなかに一旦沈む事を覚悟していたのだが。
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どう言う訳か私は水には落下せずに空へ舞い上がってしまった。それも、一気に高度が上がったため急に恐くなった。無我夢中であったが、気が付くと私は命綱を握っている。池も、そしてその池の真ん中に有る小さな島も見る見るうちに小さくなっていく。
もはや私は恐怖のあまり命綱から手を放してしまったので、そのまま勢いでドンドン高く上昇していく。とても安定が悪い。なかなかバランスが保てないのだけれど確実にもう空を飛んでいた。
そして、一抹の不安が過る。私はこのまま一体どこまで飛んでいくんだろうかと。。。
まるで糸が切れたタコ状態だ。
下界は遥か下。野も山もどんどん越えていく。しばらく飛ばされているうちに風はちょっと冷たい。と言う事ぐらいは気づく様になって来た。そしてまだまだ不安を拭う事も出来ないでいる。そして泣きたくて何かにすがりたい気分だった。勿論、涙も出てくるのだが風圧で飛ばされ直に乾いてしまう。そして、叫び声も声にならない。
しばらく不安定な状態で無我夢中に空を舞うように飛んでいた。
すると、どこからか音楽が聞こえて来た。音楽はオモチャのピアノ音色だ。飛ばされながら空の様子を探っていた。水色の空には白い雲がいくつも浮かんでいた。雲の間から小さな黒い点が見えて少しずつ近づいて来る。その黒い点はようやくカタチを表し、こうもり傘だと解る。その音は黒いこうもり傘が運んで来てくれていた。
大きなこうもり傘は水色の空の中クルクル回りながら音楽を奏でている。
私は出来るだけその傘に近づこうとテを伸ばす。
音楽は、楽しそうに、そして優しい言葉で歌い始めている。
“哀しい訳でも無いのに君の笑顔を思い出す度に。。。♪
風は相変わらず強いけど私は不安な気持ちをいつの間にか忘れてその歌を聴いている。
そして、やっと、私はこうもり傘に手が届いた。
と、思ったらその傘はいつの間にかタキシードを着た天使みたいな顔をした男に変わっていた。
タキシードの男は大きな口を開けて子供みたいに歌っている。私も目一杯口を開けて一緒に歌った。オモチャのピアノの伴奏でキモチのよいリズムだ。
空の中を風を切って、歌っていると喉がからからになって来た。でもどうしても嬉しくっておかしくって、歌は止まらない。そのリズムに合わせながらクルクル回りながらあまりにおかしいので私は目を閉じた。
そして目を開けたとき私は地面に立っていた。そこは緑色の草原が広がっていて一本の舗装された道が続いていただけだ。
私は実感した。地面に足がついている事の安定感を。
しかし、音楽はいつの間にか消えていた。私は夢を見ていたのかと思った。
気分を変えて私は歩くしかなかった。頭の中に空白が出現したみたいだった。そしてモウ風も吹いていなかった。
水色の空を仰いでも、こうもり傘もタキシードの男も何所にも見当たらないし、少し哀しい気分になった。タキシードの男の顔は見覚えが有る棟な、無い様な。その肩のシルエット、顎の感じ、薄くて大きな口。笑うとちょっとシワがよる。風に吹かれたやや長めの細い髪。
しかし、明るい日射しの中、歩きながら考えてるうちにそんな事はモウどうでもよくなってしまった。
私は歩くしか無いのだから。今ここに道は一本しかない。と言う事だけで、ソコを歩いていかない限りは何所へも行けないし、行き着く事も出来ないのだから。
そう!歩くだけね。
一体、何所へ?
うーん。。。解らないが。。。
多分、自分を待っている場所が有るはず。
きっと。
だから、歩くしか無いのだ。が、万が一、また何かの拍子で体が舞い上がって、地上からはなれる様な事になったら、さっき聞いた不思議な歌をまた歌ってみようと思った。
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by magnolia0812
| 2012-11-20 12:00
| 短編部
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by magnolia0812
| 2012-11-09 03:00
| NYジャーナル部